歯周病は、磨き残しによって歯と歯ぐきの間に細菌がたまり、歯のまわりの組織(歯肉や歯槽骨など)に炎症を引き起こす感染症です。
現在、30歳〜40歳代の日本人の約8割が歯周病にかかっているとも言われ、
歯を失う原因の第一位として、むし歯よりも多くの割合を占めています。
歯茎の縁をはじめ歯の周りの組織に炎症が起きる
炎症が広がり、ちょっとした刺激で出血しやすい
歯槽骨が溶けて後退してきている状態で、口臭もひどい
歯槽骨で歯を支えられなくなり、残念ながら抜歯に
日本人の成人の約8割が罹患していると言われている歯周病は、気付きにくい病気です。
上記項目に一つでも当てはまる方は、歯周病またはその予備軍と言えますので、歯科医院にお越しください。
まずは歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」を測定することで進行度合いの指標となります。一般的に健康的な歯周組織は歯周ポケットの深さが1〜2mmで、3〜5mmであれば初期歯周病、4〜7mmで中度歯周病、6mm以上だと重度の段階に進行していると考えられます。
特にポケットの深いところや検査時に出血した箇所は歯周病の可能性が高く、どのような歯周病治療が最適なのかを精査していきます。
その他にもプラークの付着度合いや歯の動揺度合いなども検査します。
ハンドスケーラーや超音波スケーラーなどを用いて、歯根面から歯石を徹底的に取り除きます。歯垢(プラーク)は歯磨きで除去できますが、歯垢が固まって石灰化した歯石になると、歯科医院での処置でなければ除去することはできません。
基本治療終了後は歯周病の状態が改善されたか否か、再度、歯周ポケットを検査します。
基本治療を行っても歯周ポケットが深いままの場合、深さを改善するために外科的な手術を行います。また、歯周病が進行して骨が溶けてしまっている場合は、特殊な材料で失った部分の骨を補う歯周組織再生治療を行います。
フラップ手術
歯肉を切開して歯槽骨から剥離し、露出させた歯根のプラークや歯石の除去、歯槽骨の清掃、およびダメージを受けた歯肉などの組織を除去して、歯肉を元の状態に戻す治療方法です。施術時間は約1時間程度で、日帰りで行える手術です。
全身状態によっては手術が行えない場合もありますので、まずは各種検査を行い手術可能かどうかを判断します。
歯周組織再生誘導法
(GTR法)
GTR法(Guided Tissu Regeneration)は再生療法と呼ばれ、歯周病で失われた歯槽骨など歯を支える周囲の組織(歯周組織)を再生・誘導させる治療法です。
フラップ手術の後、特殊な保護膜(メンブレン)を歯肉と他の歯周組織(歯根膜・歯槽骨)の間に入れることで、失われた組織を再生させ、元の状態に近づけていきます。
歯周病が広範囲にわたっていると、この手術は行えない場合もあります。
歯周組織再生療法
(エムドゲイン/リグロス/骨補填材)
GTR法と同様に、失われた歯周組織を再生する手術です。
フラップ手術の後に、エムドゲインという歯の発生を促す作用があるタンパク質の一種や、リグロスという皮膚の再生治療などに使用されるヒト由来の薬剤を歯根表面に塗布することで、歯周組織の再生を促して歯肉を元に戻します。
また、組織が失われたスペースに骨補填材といった薬剤を補充する事で骨の再生を促す治療法もございます。
歯周病はとても再発しやすい病気です。一度治療を行ったからといってセルフケアや定期検診を怠ると、歯周病が進行していて手遅れに…というケースも多々あります。
歯周病からお口を守るためには、「予防」が最も大切です。
治療後の健康な状態を保つためにも、歯科医院で定期的に検診を受け、家庭ではケアできない歯周ポケットのクリーニングやブラッシング指導を受けましょう。