Vol.63 みなさま、こんばんは。院長の佐藤公麿です。
歯科医療において、歯の接着はなくてはならない技術です。
接着技術が応用される治療場面は非常に多いのですが、特に皆さまに馴染みが多いのが、小さな虫歯の治療をする際に、即日でできる白い詰め物で、コンポジットレジン修復という治療方法かと思います。
このコンポジットレジン修復という治療ですが、材料や接着技術の向上は近年目ざまくし、その機械的な性質も年々向上しています。
奥歯と奥歯の間にできてしまった虫歯を治療する際、昔はコンポジットレジンという材料の物性自体がよくなかったこともあり、メタルインレーと呼ばれる銀の詰め物で治療されることが多くありました。
しかし、このメタルインレーのいう治療方法では小さな虫歯の治療をするために非常に多くの歯質を削る必要があります。さらに、このメタルインレー・・・歯へは合着という方法でセメントを用いて装着するのですが、経年的にそのセメントが劣化・溶出し、歯とメタルインレーとの間に隙間ができてしまい、そこから新たな虫歯になってしまうことが多くあります。そのため、私としては出来るだけメタルインレーによる修復治療は避けたいと考えています。
このメタルインレーでの修復治療とコンポジットレジン修復での臨床成績を最長19年間比較検討すると、両者の生存率に有意差はなかったという報告があります(Kubo S, et al., Jpn Dent Sci Rev., 2011)。
また、日本歯科保存学会のガイドラインにおいても、両者の臨床成績に差がないのであれば、治療のために歯質を削る量が少ない(歯に優しい)コンポジットレジン修復を推奨しています。
このコンポジットレジン修復治療の利点としては、以下のものが挙げられます(飯田真也著、臨床に活かせるコンポジットレジン修復より改変、引用)。
①歯質を削る量が少ない。
②もしも、欠けたり取れたりしても再修復治療ができる。
③天然歯と同等の色調をしており、見た目が良い。
④前歯から奥歯まで適用範囲が広い。
これらの利点を最大限発揮し、最良の治療結果を得るためには、術前におけるラバーダム防湿や正確な接着処理、そして適切なコンポジットレジン材料の充填が必須となります。
当院では、コンポジットレジン修復の治療結果(見た目がよく、虫歯が再発しにくく長持ちする)を出来るだけ良いものにしたいとのご希望の患者さまには、自由診療での治療をお勧めしています。
これは、保険治療制度の範囲内では理想的なラバーダム防湿や充填操作ができないことや、使用できるコンポジットレジン材料が限られているためです。
それでは、本日の症例です。
一つ目の症例は、左側の矢印の歯の右側の歯と歯の間と右側の矢印のメタルインレーの下が虫歯になっていました。
昔なら、このような左側の矢印の歯のように歯と歯の間にできた虫歯の治療には、右側の矢印の歯に入っているようなメタルインレーでの修復治療が一般的でした。しかし、この2本の歯をメタルインレーで修復するのは、歯を削る量が多くなり、歯に蓄積するダメージも大きくなるため避けたい!という、私と患者さまの気持ちが一致して、自由診療でコンポジットレジン修復で対応をさせて頂くことになりました。歯を削る量を最小限に抑え、見た目もある程度自然に仕上がったので、患者さまにも喜んでいただけました。今後も注意深く経過を追っていきたいと思います。
二つ目の症例は、矢印の歯のメタルインレーの下が虫歯になっていました。この方も、メタルインレーの最治療を再びメタルインレーで行うと、歯質を削る量がさらに大きくなってしまうのを避けたいとの思いで、自由診療でコンポジットレジン修復をさせて頂きました。拡大視野下で慎重にメタルインレーを除去し、歯を削る量を最小限に抑え、見た目もある程度自然に仕上がり、患者さまにも喜んでいただけました。今後も注意深く経過を追っていきたいと思います。
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【担当医】
佐藤公麿
【治療期間】
1日(1回の受診で対応)
【治療内容】
コンポジットレジン修復処置を行ないました。
【費用】
自由診療 約22,000円〜55,000円(症例、難易度によって異なる)
【リスク・副作用】
非常に強い力で欠けることがある。
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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)