歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた精密根管治療

  • 根管治療

Vol.84

みなさま、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

本日ご紹介させていただくのは40歳代男性の患者様です。

 

「左下の奥歯が痛い!」

という主訴で当院を受診されました。

拝見したところ、左下の第一大臼歯(6番)の銀歯が痛みの原因になっていました。

 

さらに、デンタルX線写真や歯科用CBCTで詳しく確認すると、銀歯の中で根の先に炎症(根尖性歯周炎)が生じている状態でした。

 

この状態を放置すると、さらに炎症が広がり、強い痛みや腫れを引き起こす可能性があります。そのため、歯を残すために歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた精密根管治療(歯の神経の治療)を行うことになりました。

 

まずは、銀歯を外して、歯根が割れていないかのチェックを染め出し液を用いて行いました。

明らかな破折を認めなかったため、コンポジットレジンで隔壁を作成し、ラバーダム防湿をしてから根管治療を開始致しました。

 

根管充填材を除去すると、根管内から多量の膿と出血が!!

さぞお痛みが強かったこととお察し致します。

 

数回にわたる根管治療によって、歯科用顕微鏡下で根管内が綺麗になったことを確認して根管治療を終えました。

その後仮歯を約3ヶ月間装着してから、X線写真検査で根尖部の不透過性が亢進して根尖病変が治癒傾向にあることを認めたため、補綴装置を装着して治療を終えました。

 

治療後、2年6ヶ月経過時も良好な経過を追うことができています。

 

 


⭕️歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた精密根管治療

根管治療は、細くて複雑な根管内の感染を取り除く治療ですが、肉眼での確認が難しく、成功率に差が出やすい治療でもあります。

そこで、当院では歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した精密根管治療を行っています。

マイクロスコープを使用するメリット

根管内を拡大視野で確認できるため、感染を取り残しにくい

破折(ひび割れ)や異常な根の形を正確に把握できる

治療の精度が高まり、成功率が向上する

さらに、ラバーダム(ゴムのシート)を使用し、治療中の唾液の侵入を防ぐことで、感染リスクを最小限に抑えます。


⭕️治療の流れ

【1回目】

・麻酔をして被せ物と虫歯を除去

・マイクロスコープを用いて、根管内の感染を徹底的に除去、根の先から膿を出しました。

・仮の薬を入れ、痛みが落ち着くか経過観察

【2回目】

・痛みが軽減したことを確認

・根管内を再度洗浄・消毒し、根の中を薬で封鎖(根管充填)

【3回目】

・最終的な被せ物(クラウン)を作製するための土台を作理、仮歯を入れて経過観察

【4回目】

・症状が消失し、X線写真検査で根の先の病変が縮小したことを確認して被せ物の型採り

【5回目】

・被せ物を装着し、噛み合わせの調整

治療後、患者様は「しっかり噛めるし、痛みもなくなった!」と喜んで頂きました。


⭕️治療期間・費用について

【治療期間】 約7ヶ月(5回)

【費用】

精密根管治療:既根管治療歯 132,000円

ファイバーコア:16,500円

仮歯:3,300円

ジルコニアセラミッククラウン:154,000円

【リスク・副作用】

・根管治療の成功率は100%ではなく、再発の可能性があります。

・場合によっては、外科的処置(再根管治療や歯根端切除術)が必要になることもあります。

(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)


⭕️まとめ

今回の症例では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた精密根管治療によって、歯を抜かずに残すことができました。

「歯の神経を取ると弱くなる」と心配される方も多いですが、適切な治療とその後のケアを行うことで、長く機能させることが可能です。

歯の痛みを我慢すると、治療が難しくなることもあります。少しでも違和感があれば、早めに受診されることをおすすめします。

 

お口の健康を守り、人生を健康で豊かに。

 

さとう歯科クリニックでは、患者さまの健康で豊かな人生のお役に立てるよう、歯の残すための治療を積極的に行っています。

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