Vol.85
みなさま、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
本日は、過去の歯科医院でのトラウマのためなかなか歯科治療を受けることができず、う蝕のためお食事にも困られていた患者様のご紹介をさせて頂きます。
40歳代、男性の方で、非常に苦手な歯科医院を勇気を出してご来院頂きました。
まだお若いので、入れ歯ではなくご自身の歯で美味しくお食事ができるようにして差し上げたいとの想いで治療にあたらせて頂きました。
本症例では、保険治療適用でブリッジにて口腔機能回復を行うためには、左下犬歯を保存する必要があったため、今回は外科的挺出を併用致しました。
左下側切歯根尖部に及ぶ根尖部透過像も認めましたが、左下犬歯の外科的挺出後に感染根管治療を行うことで治癒傾向を確認でき、ブリッジにて歯を補うことができました。
犬歯に残存する歯根膜によって周囲の歯槽骨が再生しているように見え、現在のところ経過良好と判断し、定期的なメインテナンスに通院していただいています。
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外科的挺出とは、歯肉縁下に位置するむし歯や破折した歯根を保存するために、歯を引き上げる処置です。
通常は矯正的挺出が行われますが、期間短縮のために外科的に歯根膜を切離し、歯を直接引き出す方法もあります。
これにより健全な歯質を露出させ、補綴治療を可能にします。
主に歯冠長延長術の一環として行われ、適応症例では保険診療が可能ですが、矯正目的の場合は自費となります。
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現在は術後約1.5年が経過し、担当歯科衛生士によるメインテナンスに欠かさずお越しいただいています。
ブラッシング方法や歯間ブラシの使い方などについても積極的にご質問頂き、
ご自身のお口の健康を守ろうという強いお気持ちをひしひしと感じています。
お口の健康を通じて、ご自身の健康感も高まられたようで、とても嬉しく思います。
これからも皆様のお口の健康を守り、健康で豊かな人生に寄与できるよう、日々研鑽を積んでいきたいと思います。
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【担当医】
佐藤公麿
【担当歯科衛生士】
松本
【治療期間】
約6ヶ月
【治療内容】
歯周基本治療及び口腔機能回復治療を行いました。
左下犬歯に対しては外科的挺出を行いました。
【費用】
保険治療適応。
【リスク・副作用】
検査の結果、治療期間が長期間に及ぶこともございます。
外科処置を伴うため、生着しない場合や術後のアンキローシス、歯根吸収を認める場合がございます。
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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)