Vol.24
皆さま、こんにちは。岡山市南区妹尾で2017年9月開院予定のさとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
「歯磨きだけではむし歯は予防できない」という事実をご存知ですか!?
小さい頃に、ご両親から「歯を磨かないとむし歯になるよ!」と言われたことのある方も多いと思います。そのため、「歯磨きさえしていれば、むし歯にならない」と間違った知識を信じている方も多いのではないでしょうか?
確かに歯磨きは非常に大切です。
しかし、一生懸命歯磨きはしているのに、どんどん新しいむし歯ができるのはなんで!?とお思いの方もいらっしゃることと思います。
本日は、効果的なむし歯予防法について書かせていただきたいと思います。
むし歯予防その①:シュガーコントロール
砂糖(ショ糖)を食べると、お口の中にいるむし歯菌が酸を出して、歯の表面が溶けだします。そして、食べ終わった後も、酸によって約20分間は歯が溶け続けます。その後、唾液の働きによって酸が中和され、約1時間かけて歯の表面が再石灰化して元に戻るのです。
ここで、むし歯予防のためにポイントなのが、1日のうちで歯が溶ける時間を極力短くすることです。
規則正しい食事をしていれば、食事のたびにお口の中は酸性になって歯が溶けても、唾液の働きで再石灰化するため、トータルでむし歯にはなりにくい状況が続きます。
一方で、3度の食事のほかに、ダラダラとお菓子やジュースを口にすると、常にむし歯菌が酸を出して、歯が溶け続けてしまいます(唾液パワーによって再石灰化する時間がありません!)。
そのため、お菓子やジュースのダラダラ食いが、最もむし歯のリスクを高める習慣といえるのです。
具体的には、以下のような習慣のある方はむし歯リスクが非常に高いのでご注意を。
・いつもアメを舐めている。
・仕事のお共はジュースや缶コーヒー(砂糖入り)。
・スポーツの合間に、スポーツドリンクでこまめに水分補給。
・フリスクなどのタブレットを常用。
・ガム(砂糖入り)をよく噛む(キシリトール100%であれば大丈夫)。
砂糖を口にする回数を減らし、一度口にしたら、次回口にするまでに間隔をあけることが重要です。どうしても、甘いおやつやジュースが飲みたい場合は、食事の後にすぐ食べることをお勧めします(下記の【良い例1】と【良い例2】では,むし歯リスクに大差ありません)。
※砂糖(ショ糖)以外の炭水化物もむし歯の原因になります。
【良い例1(お口の中が酸性になる回数4回)】
7:00 朝食
12:00 昼食
15:00 おやつ
19:00 夕食
【良い例2(お口の中が酸性になる回数4回)】
7:00 朝食
12:00 昼食+デザート
15:00 おやつ
19:00 夕食+デザート
【悪い例(お口の中が酸性になる回数8回)】
7:00 朝食
10:00 おやつ
11:00 ジュース
12:00 昼食
14:00 おやつ
17:00 おやつ
19:00 夕食
22:00 ジュース
むし歯予防その②:唾液をたくさん出す
唾液には、多くの働きがあり、歯の再石灰化を促す重要な役割もしています。むし歯を予防するためには、唾液をたくさん出すことが重要です。
※唾液の働きの中で①洗浄作用、②緩衝作用、③再石灰化作用がむし歯予防になっています。
唾液をたくさん出すための心得
・噛む回数を増やす(そのため、水分の多いやわらかい食べ物ばかりでなく、よく噛まなければ飲み込めない水分の少ない固いものを食べる)。
・食事中の水やお茶を控え、よく噛んで食べる。
・ご高齢の方は、唾液の元になる体の水分が少ない場合が多いため、水を意識的に多く摂取する(できるだけ水で摂取)。
・唾液腺のマッサージや「あいうべ体操」によって口や舌をよく動かす。
・ガム(砂糖の入っていないもの)を時間をかけて噛む(ダラダラ噛み)。
※唾液の働きの強さには個人差があります。様々な病気で常用している薬の中には、唾液の分泌を減らす作用のあるものもあります。
むし歯予防その③:噛み合わせの力のコントロール
以前、ブログでも書かせていただいた【Vol.17 上下歯列接触癖:TCH】がある方は要注意です。噛み合わせだけが原因でむし歯になることはありませんが、噛み合わせの力が原因で歯にヒビが入り、そのヒビにプラーク(歯垢)がたまって、むし歯になることがあります。
むし歯予防その④:フッ化物(いわゆるフッ素)の応用
フッ化物によるむし歯予防は皆さんもよく耳にされることと思います。
フッ化物は、①歯科医院で塗ってもらう高濃度のフッ化物と、②家で使える低濃度のフッ化物洗口やフッ化物配合歯磨き粉と、③その他のフッ化物があります。
高濃度のフッ化物歯面塗布(歯科医院で実施)
・歯の表面を酸によって溶けにくい性状に変えてくれます。
・食事や歯磨きで歯の表層が摩耗していくと、酸に強い表層のコーティングは消失してしまうので、定期的に継続してフッ化物塗布を繰り返すことが必要になります。
低濃度のフッ素洗口・フッ化物配合歯磨き粉(家庭で実施)
・フッ化物がお口の中(粘膜など)に保持され、酸によって歯面が溶けるのを抑制し、再石灰化を促進させます。
・フッ化物洗口は1日に1回、フッ化物配合歯磨き粉は1日に2回以上使用することを推奨します。
その他のフッ化物(歯科医院で実施)
・フッ化物配合歯面清掃剤を用いたPTC(専門的歯面清掃)。これにより、歯表層の酸に対する抵抗力を高めます。
・奥歯の噛み合わせの溝に、フッ化物徐放性フィッシャーシーラント(乳歯の奥歯や、生えたての永久歯に応用します)。
いかがでしたでしょうか?
要約すると効果的なむし歯予防法は、以下の4点です。①②が特に非常に重要で、③は間接的な予防、④は補助的な位置づけです。
①シュガーコントロール
②唾液をたくさん出す
③噛み合わせの力のコントロール
④フッ化物の応用
残念ながら、歯科医院で詰め物をしたり被せ物をするだけのむし歯治療では再発は免れません。
むし歯の根本的な原因である生活習慣を見直し、むし歯になりにくいお口の環境作りをお勧めします。食生活(間食の取り方含む)を見直し、よく噛んで唾液を出すことで、むし歯予防以外に健康の為に得られるメリットは計り知れません。
※すでにむし歯になっているという方!ご安心ください。再発しにくいように、精度の高いむし歯治療を受けて、上記のようなむし歯予防を行えば、定期的にむし歯治療を受けなければいけないという負のサイクルから抜け出すことができます。
お口の健康を守り、人生を健康で豊かに。
さとう歯科クリニックでは、対症療法ではなく、病気になった原因を共に考え、患者さまに寄り添った医療を実践していきます。