皆さま、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
『虫歯(う蝕)があったら、削って詰めないといけないといけないですか?』
こんな疑問を抱いたことはないですか?
実は、これは『削って詰めないといけない虫歯もありますし、削らないで良い虫歯もある。』が正解です。
日本歯科保存学会のう蝕治療ガイドライン第二版によると、
以下の1)〜5)の所見が認められる場合は削って詰める治療(修復処置)の対象となると書かれています。
1)歯面を清掃乾燥した状態で肉眼あるいは拡大鏡でう窩を認める。
2)食片圧入や冷水痛などの自覚症状がある。
3)審美障害の訴えがある。
4)エックス線写真で象牙質層の 1/3 を超える病変を認める。
5)う蝕リスクが高い
ちなみに、う蝕リスク高いとは以下のこととして挙げられています。
●全身的既往歴
・糖衣錠の服用
・口腔乾燥症を引き起こす薬物の服用
・頭頸部腫瘍の放射線治療
・シェーグレン症候群
・身体障害
●歯科的既往
・多数の修復歯の存在
・頻回な再修復
・一度に多数歯に及ぶ修復処置
●口腔衛生状態
・少ない歯口清掃回数
・フッ化物を含まない歯磨剤の使用
・矯正装置や義歯の装着
●食事
・頻回な甘いお菓子や飲み物の摂取
●フッ化物
・フッ化物の不使用
・歯磨きの未実施
●唾液
・唾液分泌量の低下
●社会的背景
上記に含まれない虫歯は、削って詰める(修復処置)のではなく、
定期的なX線写真撮影や検診による経過観察で良い場合も多いということが言えます。
当院では、虫歯になった原因を考え(食生活アンケートを実施しています)、
まずは虫歯になりにくいように食生活習慣や口腔衛生状態を改善した上で、
必要な場合に虫歯の修復治療を行うようにしています。
虫歯で穴があいていれば、詰め物で埋めなければ!と考えがちですが、
その前になぜ穴があいてしまったのか?その原因を考え、
その原因を取り除かなければ、再び新しい穴があいてしまいます。
そして、治療を繰り返すたびに、歯はその寿命をどんどん短くしているのです。
虫歯の修復処置を車の修理に例えることがあります。
車の運転の苦手な方が、車をぶつけしまい、車の修理に来たとします。
修理工場で車の修理をしたとしても、運転者の運転が上手になるか、事故を起こしにくい車にするか、
車をぶつけないように対策を練らないと、修理した車は、また傷だらけになってしまいます。
虫歯の治療も同じで、穴があいているから詰めるだけでは、また虫歯の穴があいてしまいます。
車であれば買い替えもできますが、歯は一生お付き合いしていかねばなりません。
前置きが長くなってしまいましたが、本日の症例です。
左下第二小臼歯を白くしたいとのご希望でした。
金属の詰め物を外すと、歯と金属の間を埋めていたセメントが緩んでおり、中は黒くなっていました。
歯を削る量を最小限にしたいとのご希望もあり、ダイレクトボンディングにて修復処置を行いました。
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【担当医】
佐藤公麿
【治療期間】
1日(1回の受診で対応)
【治療内容】
左下第二小臼歯に対して、ダイレクトボンディングにて修復処置を行なった。
【費用】
自由診療 約22,000円〜44,000円(症例、難易度によって異なる)
【リスク・副作用】
非常に強い力で欠けることがある。
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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)