みなさま、こんばんは。院長の佐藤公麿です。
当院では、患者のみなさまの大切な歯を、できる限り長持ちさせるために、極力『歯を残す、守る』を信条として臨床を行なっています。
しかし、完全に歯根が垂直的に割れてしまい、長期間に渡って歯からの感染が顎の骨にまで及んでいるようなケースでは、抜歯という選択をせざるおえないことがあります。
今回の症例では、隣のきれいな歯を削らずに、失った歯を自分の歯のように治したい、というご希望からインプラント治療を行なったケースをご紹介させて頂きます。
『右上の前歯がグラグラして、歯茎も腫れているので見てほしい。』とのことでお越しいただきました。
拝見すると、右上中切歯には差し歯(ファイバーポスト&オールセラミッククラウン)が入っていましたが、
歯根破折のため半分脱離している状態でした。
取れかけている差し歯を除去して、歯根を観察すると、根の先までヒビが入っており、そのビビに沿って歯周ポケットを形成され、唇側の歯茎の腫れとも一致していました。
歯根破折の診断のもと抜歯を行いましたが、歯根破折を長期間放置していたためか、広範囲に渡って歯を支えている骨(歯槽骨)に感染が及び、非常に大きな骨欠損になっていました。
抜歯と同時に骨再生誘導法(GBR)を行い、骨が固まるまで6ヶ月待ってからインプラト体の埋入を行いました。
その後、2次手術の際に唇側の歯肉の厚みを確保するために結合組織移植術(CTG)を行ない、仮歯を入れた状態で見た目や清掃性、機能的に問題がないかを経過観察後に、オールセラミッククラウン(スクリューリテイン)にて最終的な被せ物を入れさせて頂きました。
現在は定期的なメインテナンスで通院いただいており、今後も注意深く経過を見ていきたいと考えています。
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【担当医】
佐藤公麿
【治療期間】
約1年間
【治療内容】
右上中切歯にインプラント治療を、右上側切歯にオールセラミッククラウンにて補綴治療を行ないました。
※見た目も噛み合わせもより良い状態にするため、矯正治療のオプション提示も行いましたが、そこまでは希望されませんでしたので、現状の歯の位置で治療を行いました。
【費用】
自由診療 約50万円(症例、難易度によって異なる)
【リスク・副作用】
・オールセラミッククラウンは、非常に強い力で欠けることがあります。
・不良な口腔衛生や過度の噛み合わせの力など、種々の要因でインプラント体に感染が起こる可能性があります。
・将来的に、顎骨の生理的な変化に伴い、インプラントの上部構造と周りの歯の長さや歯と歯の隙間に不調和が生じ、上部構造のやり直しが必要になる可能性があります。
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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)