皆さま、こんにちは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
当院には、ホームページを見て歯周病で困られている患者さまが多く来院されています。
歯周病治療の原則は、歯周病を引き起こした原因と歯周病を増悪させた因子を解明し、それらを除去することです。
そのためには、以下のことが重要とされています(日本歯周病学会 歯周治療の指針2015より引用・改変)。
①患者さま自身の治療への積極的な参加
歯周病治療を行う上で、患者さま自身にセルフケアをしっかりしていただくことが非常に重要です。
当院では、初診時にお口の中の状態を把握するために検査を行い、その上で現状の口腔内になった原因を考えます。
(お痛みがある場合などは、応急処置を優先させて頂き、検査は後日となります)
その上で、2回目の来院時に虫歯や歯周病のリスクを知るために食生活習慣のアンケートをしていただいたり、唾液検査(希望者)をしたり、セルフケアの方法やその方にあった適切な清掃器具(歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなど)についてお話をさせて頂いています。
歯周病治療は、ご自身のお口の健康に興味を持って頂き、自分事として治療に積極的になっていただく方のほうが治りが良いことを多く経験しています。
例えばですが、『YouTubeで歯磨きや歯間ブラシのやり方を研究して、家で工夫しながら磨いています!』という方は、本当に歯周病の改善が良好な方が多いです。
②プラークコントロールを確立する
プラークコントロールという言葉を聞かれたことがある方も多いと思います。プラークコントロールには、患者さま自身が行うセルフケアと、私たち歯科医療従事者が行うプロフェッショナルケアがあります。ここがしっかりとできていないと、歯科医院で何度も歯石取りに通っていただいたり、頑張って歯周病の外科手術を受けて頂いても、良い結果が得られません(治りません)。ここは、非常に非常に大切なポイントです。
③プラークリテンションファクターを取り除く
聞きなれない言葉かと思いますが、プラークリテンションファクターとは、プラークが蓄積しやすいお口の環境や、プラークコントロールを阻害する環境因子のことを言います。具体的には、歯石、段差のある適合の悪い詰め物や被せ物、歯ブラシを物理的に当てることが難しいほどガタガタの歯並び(歯列の異常)、歯根の形が凹んでいたり股になっていたりと複雑な形(歯の形態異常)、食べ物が挟まりやすいこと(食片圧入)、口呼吸、歯の周りに硬い歯肉(角化歯肉幅)が不足しているなどがあります。
これらの因子を取り除き、プラークコントロールがしやすいお口の環境を整えることが大切です。
④咬み合わせを安定させ咀嚼機能の回復をする
過度の咬み合わせの力は、歯周病を悪化させる要因になります。そのため、当院では咬み合わせのバランスや咬み合わせの力を客観的に調べるためにの機器(バイトアイ、デンタルプレスケールⅡ)を導入しています。来年度から徐々に検査を行う予定にしています。
⑤対症療法を慎む
歯周病と診断されても、歯肉が腫れた時だけ抗菌薬を処方したり、確実な歯石とりを行わずに定期的なお口のお掃除で通院されたり、歯が揺れている場合に接着剤などで固定するだけの治療などは、『対症療法』と呼ばれています。これでは歯周病の原因が取り除けていないため、一時的に症状は収まるものの、短期間のうちに歯周病の症状を繰り返すことになり、適切な対応とは言えません。
当院では、『対症療法』ではなく、『原因除去療法』を推進しています。
本日、ご紹介させて頂く『歯周組織再生療法』ですが、歯周病が何でも治る魔法のような治療ではございません。
上記のように歯周病を引き起こした原因とその増悪因子を除去する『歯周基本治療』をしっかり行った上で、
失った歯周組織の再生を期待して行うものになります。
ということで、本日の症例のご紹介です。
50歳代の女性の方で、検査の結果、重度歯周炎に罹患されていました。
十分な歯周基本治療を行った後、再度検査を行った上で歯周組織再生療法の適応と判断して手術を行いました。
現在は、口腔機能回復治療(被せ物を入れることによって咬み合わせの回復)も終え、良好な状態で定期的なメインテナンスにて通院していただいています。
今後も、注意深くメインテナンスを通じて経過観察を行なっていきたいと思います。
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【担当医】
佐藤公麿
【治療期間】
約1年6ヶ月間
【治療内容】
歯周基本治療後に、左下第一大臼歯・第二大臼歯部に自家骨とリグロス®︎を用いた歯周組織再生療法を行いました。
【費用】
本症例の歯周組織再生療法は、保険治療の範囲内で行いました。
自由診療にて行う場合は、歯周組織再生療法:110,000円(税込)
【リスク・副作用】
・手術後の出血、腫脹など、リグロス®︎使用に伴う種々の合併症を伴うリスクがあります。
・歯周組織再生療法による治り方には個人差があります。
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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)