Vol.16
皆さま、こんにちは。岡山市南区妹尾さとう歯科クリニックの佐藤公麿です。
突然ですが、日中眠くなることはありませんか?
日中の強い眠気や睡眠時のいびきは、睡眠時無呼吸症候群の一症状です。
お時間のある方は、眠気の評価(Epworth sleepiness scale:ESS)で、ご自分の眠気の程度を測定してみてください。以下の8つの質問に対して,0〜3(0=決して眠くならない、1=ときに眠くなる、2=しばしば眠くなる、3=眠くなることが多い)で答えて、その合計点を出してみてください。
①座って読書している時
②テレビを見ている時
③公の場で座って何もしない時(観劇や会議など)
④1時間続けて車に乗せてもらっている時
⑤状況が許す場合で、午後に横になって休息する時
⑥座って人と話している時
⑦アルコールを飲まずに昼食を撮った後、静かに眠っている時
⑧車を運転中、交通渋滞で2〜3分停止している時
24点満点のうち、
5点未満の方は、日中の眠気は少ない方です。
5〜10点の方は、日中の軽度の眠気のある方です。
11点以上の方は、日中の強い眠気のある方です。
話は変わりますが、2003年2月26日に、JR山陽新幹線で運転士さんが居眠りをしていたため、新幹線が時速約270kmで走り続け、岡山駅で緊急停止するという事故がありました。
この居眠りの原因が、【睡眠時無呼吸症候群】であることが分かり、この病気が広く知られるようになりました。
睡眠時無呼吸症候群には、以下の3種類があります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(84%)
中枢性睡眠時無呼吸症候群(0.4%)
混合型(15%)
今回は、最も多いとされる【閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea syndrome:以下OSAS)】についてご紹介させていただきたいと思います。
日本での患者数は約200万〜300万人と推定されていますが、実際にはもっと多いのではないかと考えられています。治療の対象となるOSASの方の、80~90%がはっきり診断されていないと言われています。
OSASは、いびきをかく方に多く見られ、睡眠中に呼吸が止まったり、呼吸の量が低下し、睡眠が障害される病気です。睡眠中、平均して1時間に5回以上、それぞれ10秒以上呼吸が止まる場合は、この症候群の可能性があります。
症状として、日中眠くなったり、だるい感じがしたり、集中力が低下したり、頭が痛くなったりと日常生活に支障の出ることも多いのが特徴です。OSASの方は、居眠り運転などによる交通事故率が、健常対象者と比べて約2.5倍であるとの報告があります。
また、恐ろしいことにOSASの方が、0時~午前6時に心臓が原因の突然死をきたすリスクは、OSASではない方に比べて約2.6倍高いとの報告もあります(国立循環器病センターHPから引用)。
OSASは、単に呼吸が止まるだけの病気ではなく、心臓、脳、血管に負担をかけることで、様々な全身疾患を悪化させるリスクとなる恐ろしい病気なのです。
しかし、治療をきちんと受ければ、これらのリスクを下げることができることもわかってきています。
OSASの治療では、まず初めは、初期介入として生活習慣の見直しによる行動療法(お酒や睡眠薬の中止、肥満の場合は減量など)が行われます。
また、原因によっては外科的治療が行われることもありますが、それ以外には、重症度に合わせて持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positive airway pressure:CPAP)やスリープスプリント療法が行われます。
※診断のためには、終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)が必要です。
スリープスプリント療法は、上下顎のマウスピースを用いて、下顎を前に出した状態(最大前方位の60〜70%の位置)で固定し、舌の沈下を防ぐことで睡眠中の気道を確保し正常な呼吸を保つ治療です。
この治療は、軽症〜中等症の方が適応となりますが、重症の方でもCPAPと併用されることもあります。すべての方に効果があるとは限りませんが、CPAPに比べて安価で簡便というのがメリットになります。長期間スリープスプリントを使用すると、睡眠状態(眠りの深さやその割合)を改善する一方で、約80%の方で噛み合わせの変化を引き起こしたり、様々な合併症の報告もあります。そのため、歯科医院での定期的なチェックが必要になります。
大きないびきのある方や日中の眠気が強い方、一度医療機関で睡眠時無呼吸症候群の検査を受けられてはいかがでしょうか?
お口の健康を守り、人生を健康で豊かに。
さとう歯科クリニックでは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さまへのスリープスプリント療法を行っています。詳しくは歯科医院にてお尋ねください。