Vol.17
皆さま、こんばんは。岡山市南区妹尾さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
突然ですが、皆さまは、日中上下の歯が当たっている時間は平均でどれぐらいだと思いますか?
普段のご自身の生活を振り返ってみて、4択で選んでみてください。
①20分
②6時間
③12時間
④24時間
正解は・・・
①の20分です。
上下の歯はいつも噛み合っているのが普通だと思われている方も多いかもしれませんが、1日3食の食事も含めて、上下の歯が生理的(咀嚼時、嚥下時、発音時など)に触れるのは、「瞬間的」で、1日合計で平均20分間と言われています。
今回のテーマである上下歯列接触癖(以下TCH)とは、上下の歯を1日20分以上接触させてしまう癖のことを言います。
このTCHは、あらゆる歯科疾患を引き起こす要因になります。
①TCHリスク診断の所見
・歯の圧痕(頬粘膜咬合線、舌圧痕)
・異常咬耗
・骨隆起(口蓋隆起、下顎隆起)
②歯に生じる所見
・くさび状欠損
・歯の破折
・歯の移動、動揺、歯根の肥大
・知覚過敏、咬合時痛
③歯周組織に生じる所見
・歯周病
・歯根膜腔の拡大
④粘膜に生じる所見
・口内炎
⑤補綴物(被せ物や入れ歯)に生じる所見
・入れ歯の破折、咬耗
・顎の骨(顎堤)の吸収
・支台歯の動揺
・補綴物の破折
⑥顎関節に生じる所見
・顎関節痛、開口障害、顎の音など
⑦全身に生じる所見
・頭痛、肩凝り、めまい、耳鳴り、倦怠感など
また、強い噛み合わせの力よりも、このTCHによる弱くて長時間の噛む力が、お口の中に上記のような様々な問題を引き起こすと言われています。
では、このTCHの主な原因は、なんでしょうか?
「ストレス」を感じ、「集中」している時に多く見られことがわかっています。具体的には、
①環境の変化:引越、入学、入社、退職、昇進、社内の配置転換、出向など
②生活の変化:細かい作業の伴う趣味、パソコンやスマートフォンの使用、スポーツ、入試・資格試験、人間関係(家族の増減、同居、介護、知人とのトラブル、仕事上のトラブル)など
③体調の変化:病気全般、足腰の痛み、怪我、精神的な不調など
④気候の変化:冬(寒さ)、夏(冷房の効き過ぎ)など
がTCH長時間化の原因になると言われています。
まずは、ご自身でTCHがないかどうか、日中の気づきから始めてみてください。
しかし、上下の歯の接触をうまく気づくというのは、意外と難しいものです。
そんな場合は【貼り紙法】を用いてみてください。小さめの付箋用紙に「歯を離してリラックス」と書き、5分以上いる場所すべてにそれを貼ってください。メモに気がついたら、息を吐き出しながら力を抜き、歯を離して、舌も力を抜くと言う動作を行ってください。それを続けると、歯が接触してから気がつくまでの時間が徐々に短縮し、最終的には歯が接触していると、条件反射で無意識に離開するようになります。
新年度も始まり、生活環境が変化された方も多いかと思います。この時期は、TCHによる知覚過敏(歯が凍みる)や奥歯で噛むと痛いという症状の方が多くなります。
そのような症状のある方は、一度TCHを疑ってみてください。
お口の健康を守り、人生を健康で豊かに。
さとう歯科クリニックでは、患者さまの健康に役立つ情報の発信を継続していきたいと思います。