大きな根尖病変でも歯は残せる?マイクロスコープを使った精密根管治療で歯を守った症例

  • 根管治療

Vol.88

みなさま、こんにちは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

今回は、70歳代女性の右上第二大臼歯に見られた大きな根尖病変が治癒し、5年半にわたって良好な経過を保っている症例をご紹介いたします。

患者様は、他院にて「この歯はもう抜かないといけません」と告げられ、大変ご不安な思いで当院を受診されました。しかし、「なんとか歯を保存したい」という強いお気持ちがあり、当院での**精密根管治療(根の治療)**によって、歯の保存を試みることとなりました。

 

【初診時の状態】

初診時には、右上第二大臼歯(7番)に広範囲の根尖病変が確認され、CBCT画像でも病変の拡がりは明らかでした。

歯ぐきには軽い腫れがあり、デンタルX線画像では歯根の先に透過像(黒い影)が認められました。

 

【マイクロスコープを用いた精密な処置】

当院では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を活用し、感染源を見逃さない精密な根管治療を行っています。

本症例では、複雑な根管形態と感染によって歯の保存が困難とされていたため、顕微鏡下での徹底した感染源除去と封鎖処置が必要でした。

処置内容は以下の通りです:

  ・ラバーダムを装着し、無菌的環境での処置

  ・すべての根管をニッケルチタンファイルで拡大・清掃

  ・生体親和性の高い材料で根管を確実に封鎖(根管充填)

  ・必要に応じて中長期的な経過観察と補綴処置

【治療から5年6ヶ月後の状態】

治療から5年6ヶ月が経過した現在でも、病変の再発はなく、骨の再生が明瞭に確認できる状態を維持しています。

患者様の主訴であった違和感や腫れも完全に消失し、食事にも問題なく、非常に満足していただけています。

 

治療前と治療後の比較画像をご覧ください。

【治療詳細】

・担当医:佐藤公麿

・治療期間:精密根管治療に3回、経過観察を含めCBCTにて根尖病変の縮小を確認後にジルコニアセラミッククラウンにて被せ物を行いました。

・費用精密根管治療(既根管治療歯)132,000円(税込)、ファイバーコア16,500円(税込)、ジルコニアセラミッククラウン154,000円(税込)

・使用機材

  ・歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)

  ・ラバーダム防湿

  ・生体親和性材料による根管充填

  ・CBCTによる治療評価と追跡管理

 

 

【リスク・副作用】

・根の形が複雑な場合、すべての感染源を除去することが困難なことがあります。

・治療後に一時的な咬合痛や違和感が生じる場合がありますが、通常は数日で軽快します。

・必ずしも全てのケースで歯の保存が可能になるわけではありません。


 

この症例が示すように、マイクロスコープを用いた精密根管治療によって、抜歯と診断された歯でも保存できる可能性があります。

 

「他院で抜歯と言われたけれど、どうにか残せないか」とお考えの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

 

さとう歯科クリニックでは、一本でも多くの歯を残すことを大切に、科学的根拠に基づいた診療を行っております。

 

※本記事に掲載している画像は、患者様の同意を得たうえで使用しています。

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