虫歯のリスクは人それぞれ異なります

Vol.29

皆さまこんばんは。岡山市南区妹尾のさとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

開院して1ヶ月半が経ちましたが,『虫歯治療』は毎日行う治療の一つです。それとともに、『虫歯予防』も毎日患者さまにお話しすることの一つです。今回は虫歯予防について書かせていただきたいと思います。

 

 

●そもそも虫歯ってどんな病気?

虫歯は、プラーク(昔でいう歯垢)の中の酸によって、歯が表面から溶かされてできる病気です。

歯の表面についたプラーク中の虫歯菌は、砂糖などの炭水化物を分解して酸を作ります。その酸によってプラークの中が酸性になり、歯の表面に酸性になったプラークが付いていることによりカルシウムが溶け出してしまいます(脱灰といいます)。通常は、一時的に歯の表面が脱灰しても、酸は唾液の作用(緩衝能)によって中和され、再びカルシウムが歯の表面に戻ります(再石灰化といいます)。この「脱灰」と「再石灰化」は、歯の表面で常に繰り返されており、このバランスが取れている限りは虫歯にはなりにくいのです。

しかし、頻繁に砂糖などを摂り続けていると脱灰が進み、歯の表面が柔らかくなり、最後には穴が開いて虫歯になってしまうのです。

虫歯菌は常在菌といって誰のお口の中にも存在しています。ただ、虫歯菌がいればすぐに虫歯になってしまうというわけではありません。虫歯菌のエサとなる砂糖や炭水化物があって、時間が経過することではじめて虫歯になってしまうのです。

 

 

●虫歯の原因は何?

虫歯になるのには、様々な要因が関係しており、その方の生活習慣によって、そのなりやすさが大きく左右されます。

その要因の中でも、以下の3つの要因への対応は非常に重要になります。

 

 ①宿主:歯の質(酸の対する抵抗性)や唾液による保護作用(緩衝能・抗菌性・再石灰化能)など

 ②細菌:細菌の量、細菌が酸を出す力など

 ③食事:糖質の量、飲食回数、時間、食物の性状など

 

 

また、上記3つの要因のほかにも、年齢(歯が生えて1-2年の間が特に虫歯になりやすいです。また、加齢や歯周病に伴い歯根が露出してきた場合にも虫歯のリスクが高まります)、その方の社会環境、全身疾患(特に唾液の量が減るような病気や、お薬を飲まれている場合に虫歯のリスクが飛躍的に高まります)、虫歯予防の正しい知識の有無などの要因も複雑に関わってきます。

 

 

●虫歯になりやすい人と、虫歯になりにくい人

小学生の時、歯を磨かないのに虫歯にならないって自慢している友達いませんでしたか?

実は、虫歯のなりやすさ(虫歯リスク)は、人によって大きく異なります。

低リスクの方と、高リスクの方では、どの程度予防に力を入れる必要があるのかまで異なってきます。また、そのリスクを高めている要因は人によって異なり、個人個人にあった予防アプローチが必要になります。

 

 

●虫歯を予防するには?

虫歯リスクが低い方は、以下の基本的な予防法を実践することで、ほぼ虫歯を予防することができます。

 1)虫歯菌のエサとなる砂糖などを減らすこと(間食の回数を減らし規則正しい食生活)

 2)ブラッシングで虫歯菌を減らすこと(毎食後と寝る前のブラッシング)

 3)フッ化物を使用して歯を強くすること(フッ化物入りの歯磨き剤を使う)

 

ただし、虫歯リスクが高い方の場合、そのリスクを高めている要因にあった予防アプローチが必要になります。各要因毎のアプローチとしては以下のようなものがあります。

 

 ①宿主:

  ・歯の質(酸に対する抵抗性)を高めるためにフッ化物を応用する(定期的に歯科医院で高濃度フッ化物を塗ってもらう、家でフッ素入り歯磨き粉と使う、フッ素洗口をするなど)。

  ・唾液の量を増やすために、食事の時によく噛む(1回飲み込むまでに30回噛む)。

  ・食事の時には、水分を摂りながら食べない(食べ物を流し込んで飲み込むことの防止)。

  ・唾液の量が減っている場合は、唾液腺マッサージの実施。

  ・食後すぐにブラッシングを行い、ノンシュガーガムを20分以上噛む(必ずノンシュガーにしましょう)。

   ※食後約10分後にお口の中の酸性度はピークを迎えます。そして約60分程度時間をかけて、徐々にお口の中は唾液の緩衝能によって中性に戻ります。食後すぐにブラッシングをし、20分以上ノンシュガーガムを噛むことで、お口の中は酸性から中性に戻り、再石灰化を進めてくれます。

 

 ②細菌

  ・食後と寝る前に、ブラッシング(歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ)で虫歯菌を減らす。

  ・フッ素入りの歯磨き粉を使用し、ブラッシング後はお口をゆすがないようにするか、ごく少量(目安は10cc程度)の水で1回だけゆすぐようにすると良い。

  ・奥歯の噛み合わせの溝にフィッシャーシーラントを行う。

  

 ③食事

  ・ダラダラ食い(飲み)は虫歯のリスクを非常に高めるのでやめる。

  ・飲食の回数を減らし、規則正しい食事を心掛ける。

  ・間食をする場合、お口の中に残りにくいものを選ぶ。

  ・スポーツドリンクや缶コーヒー(無糖と書かれたものでも、基準値以下の少量の砂糖が入ってます。もちろん虫歯になります)、野菜ジュース、果物に含まれる糖分も虫歯の原因です。ご注意を!

 

 

虫歯のリスクや要因はそれぞれ異なります。適切な診断を受け、虫歯予防を心がけてお口の健康を守っていきましょう。

 

 

お口の健康を守り、人生を健康で豊かに。

さとう歯科クリニックでは、患者さまにあった虫歯予防アプローチを行うよう心がけています。

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