皆さま、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
突然ですが、鏡でお口の中を観察してみたときに、歯肉が下がって歯が長く見えるところや歯が削れているところはありませんか?
今回のテーマである『歯肉退縮』ですが、程度の差こそあれ、実は非常に多くの方にあると言われています。
埴岡らの報告(歯肉退縮と歯頸部摩耗についての疫学的研究, 日本口腔衛生学会雑誌, 1994)によると、事業所従業員男性157人(22歳〜63歳, 平均年齢40.1歳)を対象に、歯肉退縮有病者率は76%であったとされています。
歯肉退縮は、歯を支えている骨や歯肉が薄いなどの解剖学的な素因に、不適切な歯磨き(オーバーブラッシング)などの直接的原因が作用して生じるといわれています。
硬い歯ブラシで、力強く、長時間、大きな動きで横磨きをしている方!要注意です。
この磨き方をしていると、歯肉は下りやすく(歯肉退縮しやすく)なります。
『塵も積もれば山となる』と言いますが、不適切な歯磨きを毎日、何ヶ月も、何年間も続けていると、明らかに歯肉は下がっていきます。歯磨きは毎日行うことなので、適切な道具と方法を習得しておくことが、非常に大切です。
ご自身の磨き方に自信のない方は、ぜひ担当歯科衛生士さんにご相談ください。
そして、ご自身のお口の状態にあった道具とブラッシング方法をご自分のものとしてください。
さて、本日ご紹介させていただく患者さまですが、
『右上の奥歯の歯肉退縮を治して欲しい』
とのことで受診をされました。
頬側の歯肉退縮は、Leandroらの報告(J. Periodontol, 2016)によると処置をせずにいると長期的には78.1%が悪化すると言われています。
今回は、上皮下結合組織移植による根面被覆術を行うことによって、現状の歯肉退縮を改善できたのみならず、今後の歯肉退縮のリスクも低減できたのではと考えています。
***********************************************************************************************
【担当医】
佐藤公麿
【治療期間】
手術当日に1回外来受診をしていただいた後、抜糸処置に1回、その後は定期的な術後経過観察をさせて頂いています。
【治療内容】
右上第一大臼歯の歯肉退縮に対して、口蓋から採取した上皮下結合組織(CTG)を移植し、歯冠側に歯肉を移動させる術式(modified coronally advanced flap)で手術を行いました。手術時間は約1時間で、術後の痛みもあまりなかったとのことでした。
【費用】
自由診療 55,000円(当時)
【リスク・副作用】
術後、CTGを採取した口蓋から出血を伴うことがあります。また、外科処置のため術後疼痛をある程度伴うため、痛み止めを服用していただくことがあります。
術後、オーバーブラッシングなどの過度な機械的刺激を繰り返すと、再度の歯肉退縮を引き起こす可能性があるため、手術部位へ適切な清掃を行う必要があります。
***********************************************************************************************
(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)